2nd factor(セカンドファクター)〜いい音楽が生まれるための二つ目の因子〜 楽器・音響機器全般の製作、修理、メインテナンス

       リペアマン 雨月物語

  修理を出す前に

                                          H110729   No.1

 これは楽器の修理に、たずさわっている修理屋のよもやま話です。
技術的な話になったり、メンタルな話になったりするかと思いますが 
あまり力まずに、ふらっと始めようと考えておりますので 
まあ、期待など決してしないように御付き合いください。

 私が修理を始めました20年ぐらい前は、今のようにギターリペアの専門学校というものもありませんで
ましてや、まともな文献も見当たらないのが普通でした。
ただその中においてヒデオ カミモトなる方の完全なるギターリペアという本が出版され
しょっちゅう読んでいたのを思い出します。

 この本はGUITAR BOOKという洋書を訳したもので、もともとは海外で出版されていたそうです。
この本は非常に変わったスタンスの本でリペアマン向けと言うよりは、どちらかと言うと
楽器に興味があるミュージシャン向けの啓蒙書の色合いを感じます。

今読み返しても新たな発見のある本ですが、その中で印象深いのは 
修理を依頼するお客様に向かって、壊れていない物を 出すのは恥だと思いなさい
と書かれているくだりがあり、当時非常に驚いたのを覚えております。

誤解のないようにもう少し御説明致しますと
修理において、明らかにクラッシュしている物とそうでない物があります。
たとえばネック折れなどは、明らかにクラッシュしている物の代表的な例でして、これは復元すれば完了です。
それとは別にニュアンス的な物としまして、音がビビルと言うような内容の修理が有ります。
これなど確かに実際にビリついている物もありますが、逆にまったく異常のない物もあり 
物理的な修理と言うより、もっと違う種類の修理ではないかと思います。

このあたりが、電化製品の修理とは異なる部分でして
業界の専門用語で言うところの、機能限界とはまた違うと思います、

 ようするにお客様との話合いをして、わかってもらうしかないと思います。
実際、同業者の内でビリツキ修理はしないという方もおりまして 
こけはこれでひとつのポリシーを感じ、個人的には少しうらやましいと思ってしまいます。

 ただメーカーさんの下請け修理屋の立場では、おことわりする事ができにくいのが実状でして
異常なし、で送り返すのがなんともむなしい感じが残ります。

 このページで改めて、ビリツキについて書かせていただこうと思いますが
やはり修理を依頼されるとき、もう少しお店の方と話をしてみたほうが、トラブルはへると思います。

実際まったくビリツキなど無い楽器が、修理に出されたケースを考えてみますと
まずお店からサービスセンターに送られ、センターで選り分けられて、そこから修理業者に届きます。
ここで異常なしなら業者からお店に連絡し、お店がお客様に連絡すると言う経路をたどりますが
お客様の方はビリついていると思っておられるので、もう一度調べてほしいと言うようなことになり
これがまた、センター経由で業者に届きこれについて、また………・
と言うように、まるで伝言ゲームのようになってしまい、もう何がなにやら…・・

一番大事なことは、お客様も修理を出されるときお店の方と、もう少し話し合いをされた方が
結局は早く確かな修理ができるようになると、思われてなりなせん。

 修理はまず話し合いから

 さて、ここで宣伝です。
セカンドファクターのスタッフが、月に一度ですが
元町の神戸ヤマハさんの方に、ギタークリニックで出張いたします。
お手持ちのギターで最近どうも調子が悪いと感じるが、ほんとうはどうなんだろう? とか
このエフェクターの音をもっとかっこよくしたい、など
どんなことでも結構ですので、御来店をお待ちしております。
いろんな質問に、お答え致します

   場所  ヤマハ神戸店 1F 楽器売場
   日時  毎月 第4日曜
        午後1時より 5時まで